和歌山市立 川永小学校

メキシコレポート

図1図2

実はH君,ついこの前までメキシコにいたんです

観光でもなんでもなく仕事で行ってたということ

以下はH君のメキシコレポートのほんの一部です

 アグアスカリエンテス日本人学校への派遣が決定した時、私にはアグアスカリエンテスがどの国なのか、どこのある街なのかが分からなかった。すぐに書店に駆け込みメキシコに関する本を買い求めたが、アグアスカリエンテスについて掲載されているものはほとんど無く、インターネットで検索しても情報はごく限られたものであった。自分の全く知らない場所で社会科を教えることになったわけである。・・・略・・・

図3図0

メキシコの社会の概要

 1年目の研究はメキシコの経済の概要を知る所から始めた。私が赴任した当時、先輩の教員から聞いて大変驚いたことが、「アグアスカリエンテスは物価が毎年5%程度上昇する。」という事である。私は1981年生まれである。私が物心のつくころにはバブル経済が崩壊し、長期の不況の中で育ってきた。また、その当時はリーマンショックによる世界的な不況の影響もあり、日本はマイナス成長を続けている時代であった。・・・略・・・

図4

対日感情

 メキシコで生活をしていると、メキシコの人々は日本人に対してとても親切であると感じる。街中で道がわからなければ声をかけて、時には目的地まで案内してくれる場合も少なくない。外国において、ここまで親切にされた経験がなかったので、その理由について調べていくことにした。日本はメキシコで平成23年に行われた調査の中で、「あなたにとって最も信頼できる国はどれですか」という問いに対してアメリカ、カナダというNAFTA諸国に次いで第3位であり、「最も親近感を持つ国を3つ挙げて下さい」という問いに対してはNAFTA諸国のアメリカ、歴史的に関係が深く言語が同じであるスペインに次いで全体4位と、メキシコの人々は日本に対してかなりの良い印象をもっていることがわかる。・・・略・・・

図3

2年目の研究(現在のメキシコ政治について:研究授業)

 派遣2年目は自分の研究の内容を日本人学校の5年生から中学部3年生の児童を対象に研究授業をおこなった。2012年はメキシコにとって政治に関する大きな出来事が二つあった年であった。

一つ目は国の正式名称が「メキシコ合衆国」から「メキシコ」に改められるという法案が議会に提出されたことである。建国以来200年続いた国名が変更されることは大きなニュースであった。二つ目は総選挙が行われたということである。メキシコの投票率は62%と、日本に比べやや高く人々の政治に対しての意識も高い国であると言える。総選挙前の時期には、アグアスカリエンテスの街にもさまざまな候補者や政党のポスターが貼られたり、信号で自動車を止めると車に乗っている人々に対してビラが配られたり、政党のTシャツをきた若者たちが投票を呼び掛けながらダンスなどのパフォーマンスを繰り広げたりするなど、独特の盛り上がりを見せていた。テレビでは毎日のように各党の動向が伝えられ、まさに選挙ムード一色であった。また、日本人学校の子ども達は選挙の直前に現職であったフェリペ・カルデロン大統領にアグアスカリエンテスにおける日産自動車の新工場起工式の場で出会った経験があったので、子ども達は選挙権は無いにせよ多少は興味をもっているかと考えたが、言葉の壁が大きく、よく分からないというのが現状であったので、授業化を考えた。・・・略・・・

図6 図4

3年目はメキシコの現地校では社会科がどのように教えられているのかを調査した。

調査方法

(1) 現地校での社会科担当教員からの聞き取り調査

(2) 現地校授業参観を通しての授業研究  ・・・略・・・

 

図7

赴任直後、この研究を進めるには、言葉の壁が大きく立ちはだかると考えていた。しかし、その心配は無用であった。情報化された今日においては、知りたいという意欲さえあれば、情報を手に入れることはそれほど難しい事では無く、むしろ膨大な情報から自分の求める情報だけを選ぶことの難しさを感じた。グローバル化がさらに進展していくこれからの時代を生きていく子ども達にとって情報の取捨選択は必須のスキルであり、現代の社会科教育が子どもたちに伝えるべき能力であると感じた。

 

図5 図8

異国の社会を学習することは大変興味深いものであった。メキシコの社会について知ることで、自分の中に初めて「国」というものの比較対象ができた。そしてそのことが日本という国のすばらしさや、課題点について以前よりもはっきりとした実感をもってとらえられるようにしてくれた。これから日本で教壇に立ち続ける私にとって得難い経験であった。

図9 図10

社会科の教員としてメキシコに派遣されてからの3年間、この研究を今後の授業で活かすべく、できるだけ社会科の範疇(地理・歴史・公民)の分野について研究をしてきた。私がメキシコの社会について知ることができたことはメキシコのほんの一面でしかないが、それでも何度か発表や研究授業の機会をいただき、子ども達に伝えることができたことはとても嬉しいことであった。

図11 図12

以上,H君のレポートでした

詳しいことは本人に直接聞いてくださいませ

 

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