和歌山市立 加太中学校

新聞記事の紹介【 2月 5日(日)】

本日の朝日新聞和歌山版に、東京大学の青木佳子先生が執筆され、連載しているコラム『加太まちダイアリー』が掲載されましたのでお知らせいたします。本日は、加太のまちなかの入り組んた狭い路地の話題です。加太の路地は加太地区の特色のひとつです。初めて路地に入り込んでしまうと迷子になってしまうほどですね。残念ながら、このコラムが次回3月分で最終回となるそうです。本当に残念です。毎月、加太の話題を和歌山県下に伝えてくれていただき、本当にありがとうございました。青木佳子先生、深く感謝申し上げます。

加太中学校を取り上げていただいたときの記事です。【2021年11月22日掲載】

http://www.asahi.com/area/wakayama/articles/MTW20211122310940001.html

小規模校の豊かさを実感 加太中学校の授業風景=加太中学校提供

加太にいた昨年までの約3年間、加太小学校・中学校の学校運営協議会委員として行事や学校生活の様子をつぶさに見せていただく機会を得ました。

いずれも加太唯一の小学校と中学校で、児童・生徒数は減少傾向にあり、ほぼ1学年1クラスで、複式学級のクラスもあります。1970年代には500人以上いた小学校の児童数も現在は10分の1の50人ほどです。とはいえ、小学校も中学校も少人数ならではの教育を行っており、子どもたちがいつでも生き生きとしていたのが印象的でした。

私自身、1学年6クラスのような大規模学校での生活しか体験したことがないため、先生が生徒一人一人の理解度を確認しながら授業を進められ、生活まで目が届きやすい少人数クラスは、新鮮に感じるとともに純粋にうらやましい気持ちになりました。コロナ禍以前は、給食の時間に全校生徒が一堂に集まって食べるなど、学年を越えたアットホーム感も魅力的に感じます。

さらに、小中学校は連合自治会や観光協会など地域を担う様々な組織と協力体制にあり、子どもたちがお祭りなどの地域の行事で獅子舞を披露したり、アジサイ植樹のイベントに参加したりするなど、様々な地域活動シーンで児童・生徒と住民が関わります。まさに「地域全体で子育て」という言葉がふさわしい小中学校と地域の距離感です。 東京大学の所属研究室の活動の中でも、これまでにワークショップや講演会、映画制作や写真展など様々な場面で小中学校との接点をつくってきました。小規模ならではの小回りのきく時間割と先生方の高い意識、加太の色彩豊かな自然環境、そして日頃から育まれている地域組織との緊密な関係性などが相まって、子どもたちに非常に幅広く、特色のある学びの機会が与えられているのだと思います。

さて、我が国全体としても、人口が減少する中で全国で小中学校の統廃合が進められている状況です。これは現実としてやむを得ない一方で、ひとつの地域から小中学校がなくなってしまうことは地域の未来を大きく損なうことでもあり、まちを未来へ継承していく観点から憂うべき事態です。実際、小学校の児童数減少と存続危機が、地域のまちづくりの発端となった、というのはよく聞く話でもあります。

折しも、県下初の「小規模特認校」として、学区外からも住所を移さずに和歌山市内から加太小中学校へ通うことができる制度が始まることとなり、来年春から地域外の児童生徒の受け入れを始めるとのことです。昔と比べて多様な教育のあり方が認められる現代、その地域らしいひとつの教育のあり方として、美しい山と海、そして公立でありながら少人数ならではの人と自然のぬくもりのある学習環境というのも、子どもたちにとっては心身ともに健康的で幸せなのだと想像できます。

(青木佳子・東京大生産技術研究所 博士研究員)

 

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