和歌山市立 東山東小学校

教員研修

本校の研究主題

  『一人ひとりが生き生きと活動し,楽しく伝え合える子どもを育てる』

~ 算数科における対話的な学びを通して ~

1.研究主題について

 (1)主題設定

私たちは,21世紀を生きる人間として必要な資質『生きる力』を身に付けた子どもの育成を目指した教育活動を行っている。そのような子どもとは,基礎的な知識及び技能を身に付け,それを活用し自ら学び,考え,判断し,表現する力を備えた子ども,他人を思いやる心や協調する心,多様な事象に感動する心を持った子どもの育成である。子ども達の学力・豊かな心・健やかな身体の育成を基本的なねらいとして,私たちは学校教育に取り組んでいる。子ども自身が既習事項や経験・体験で培った力を駆使し,学習を通して豊かに表現する力を身に付け,さらに自己をより価値のあるものへと高められるよう,日々取り組みを進めている。

そこで,2020年度まで子ども一人ひとりがコミュニケーション力や国際理解の基本的な能力を養い,主体的な力,グローバルな思考力・表現力を育てることを目指し,国際理解教育・英語教育の研究を進めてきた。これまでの研究を通して,子どものコミュニケーション力や表現力について一定の成果が見られ,外国の方と臆せず話そうとする態度が育ち,表現への意欲が高まってきたと思われる。また,異文化を理解し尊重する中で郷土や国の良さを見直そうとする心が育ってきた。

しかし,本校の実態を顧みると日常会話や学習場面での対話,自分のおもいを表すこと,相手の意図を聞き取ることに課題が見られ,2021年度より研究主題を,対話的な学びへと変更した。教科を指定せずに行った昨年度の研究を通して,先に述べた話すことや聞くことの課題以外にも基礎学力の定着の弱さから授業に対して受け身となり話し合いを深めることができないといった課題が浮き彫りとなった。そのため,本年度は研究教科を算数科に設定し,既習事項を活用した自分の考えを相手に伝えたり相手の思考の過程を聞き取ったりしながら学習の定着を図り,友達との対話を通して主体的な力や表現力,相手に寄り添える思考力を育てることを目指して研究に取り組むこととした。

(2)主題に迫るために

今の子どもたちやこれから誕生する子どもたちが,社会で活躍する頃には,グローバル化の進展や技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化しており,予測が困難な時代となっている。このような時代にあって,学校教育には,子どもたちが様々な変化に積極的に向き合い,他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め、知識の概念的な理解を実現し、情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。

本校の課題である基礎学力の向上と、話し合って学びを深めていくことの克服のためには,実生活と関連した学習課題との出合いや様々な対話を通した学びに繰り返し取り組んでいくことで必要であると考える。そのため,本校では対話的な学びを学習の中心に据えて,授業改善に取り組み,子どもの基礎学力の向上を図り,自尊感情を高め,相手を思い,お互いを認め合っていく関係性を構築していく力を養っていく。そのような対話的な学びを目指し,学習主体である子どもを中心にした3つの対話を意識した研究に取り組む。

<学びを構成する3つの対話>

①自己との対話

自分の考えや気付き等について自分自身と対話を通して考えをまとめていく。まとめていく際にはノートに書いたり,図や表に表したりする等して自分のおもいを明確にしていく。そうしてまとめた自分のおもいを相手に伝えるための準備として自己との対話の時間を十分に確保する必要がある。

②モノとの対話

教科書の文章や動画・写真,実物等子ども達は数多くの教材・教具と出合う。その教材・教具と出合い学習する中で子ども達は登場人物等と心の中で対話をしていく。その対話を通して,そこで考えたことや話したこと,心で聞いたことを基に自分のおもいを深めていく。自己との対話と共通している部分も多々あるだろうが,このモノとの対話では,教科書の文章など相手からの言葉やメッセージがあり,それらを自分の考えと照らし合せていくことで,相手に寄り添った態度の育成へと繋がっていくと考える。

③人との対話

自己やモノと対話してまとめてきた自分のおもいを教師や友達などの相手との対話で伝える。ただ自分のおもいを伝えるのではなく,相手の話したいことの本質を聞き取ることも重要なことである。一方通行の話ではなく,双方向に,お互いがわかり合った対話へとつなげていけるようにしていく。相手の伝えたいことを理解したうえで,自分のおもいを伝え,またそれを受けて相手の話に耳を傾ける。そうした対話を通して自分の考えや見方を深め,よりよい学びへと深めていけるようにする。

また,この3つの対話を子どもが主体的に,必然性をもって話し合えるよう,実生活と関連したパフォーマンス課題に単元を通して取り組み,児童の基礎学力の定着と活用する力を育てていく。

 

 

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