和歌山市立 和佐小学校

教員研修

現職教育(令和3年度~)

(1) 研究主題

課題解決を目指し主体的に学習を進める児童の育成

       ~和佐の地域教材を生かした学習活動を通して~

(2)主題設定の理由

①和佐小学校の子どもの実態と取り巻く環境の分析から

和佐の子どもは明るく元気で人懐っこく、生き物が好きな子、人に教えてあげるのが得意な子、行事などにチャレンジするのが好きな子が多い。その反面、基礎学力の向上が課題であることや評価アンケートの結果からも、自信がなく自分の意見を学習では伝えたり表現したりすることに弱さが見られる。このような実態を踏まえ、長所を最大限生かし、前向きにチャレンジする意欲を生かす学習活動を研究していくことで、その学習活動による学びが子ども自身の経験となり自信につながっていくのではないかと考えた。また、その学習活動に、和佐地区のもつ自然の豊かさや歴史的史跡があること、各種団体の方が協力的であることなどの利点を生かす地域教材を取り上げることで、自分達が住む和佐地区への誇りと愛着を生み、社会における事象を自分の身近な課題として捉え解決していきたいという自らの生き方をよくしていこうとすることにも繋がっていくのではないかと考えた。

そのため、本校では、「課題解決を目指し主体的に学習を進める児童の育成」~和佐の地域教材を生かした学習活動を通して~を研究主題と設定した。この主題に迫るため有効的な教科として、地域教材を開発できること・子ども自身の身近な課題を探求できることなど教科目標と重なる部分の多い生活科・総合的な学習の時間を柱として、研究を進めることとした。単元展開によっては社会科・特別活動・道徳科など他の教科とのカリキュラムマネジメントを行う工夫を行っていきたい。

また昨年度の新型コロナウィルス感染拡大による休校措置により学校における日々の学習活動は変化を余儀なくされた。そのような中で著しい進歩を見せたのがGIGAスクール構想実現にむけた児童一人1台PC(1to1)の配付・教室WIFI環境の整備である。休校などの緊急事態にも「学びをとめない」ことを目指し、今年度より和歌山市内全校でこの環境が整い本格的に運用が始まる。通常の授業時においてもこの1人1台PCの導入は子どもの学習の多様性・可能性を大きく広げていくものである。ICT活用にはいくつかのメリットがあるが主には記録媒体としての機能(撮影する・録画録音する・保存する)や編集機能(文書イラストグラフ作成・スライド作成・動画編集など)通信機能(メール・チャット・オンライン会議・共同制作のデータ共有など)情報収集機能(インターネットによる検索機能)・再生機能(映像・画像・音楽など)が挙げられる。このように多機能を子どもの学習活動に生かし、コロナ感染予防を行う現状においても前向きに学習を進められる手立てとなるよう活用していきたい。

 

(3)研究仮説

・地域にある教材を取り上げ、身近な課題を解決する活動を行っていくことで、関わった「ヒト・モノ・コト」を自分事として捉え「伝えたい・表現したい・話し合いたい」という表現意欲が高まり、主体的に学習活動に取り組めるようになるのではないか。また、その経験が自信につながり、学校教育活動全体においても主体的に学習する意欲を持ち、自分の住む地域に愛着と誇りをもつ子どもに育っていくのではないかという仮説を立て、研究を進めていく。

(4)研究方法

〇課題設定について

・総合的な学習の時間の学習指導要領では「目標を実現するにふさわしい探求課題」について以下のように述べられている。

…学校の実態に応じて、例えば国際理解、情報、環境、福祉、健康などの現代的な諸課題対応する横断的・総合的な課題、地域の人々の暮らし、伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題、児童の興味・関心に基づく課題など、横断的・総合的な学習としての性格を持ち、探求的な見方・考え方を働かせて学習することがふさわしく、これらの解決を通して育成される資質・能力が、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくことに結びついているような、教育的に価値のある諸課題であることが求められる。

このように挙げられた3点の課題の中でも、地域の人々の暮らし、伝統・文化など学校の特色に応じた課題を中心に本校では6年間の計画を作成した。固定してこの課題を行うというのではなく、大枠で学年ごとのテーマ・領域を決め、児童の実態に応じた教材開発ができるようにした。

 

①生活科(1・2年)総合的な学習の時間(3・4・5・6年)を中心に地域教材の開発を行う。展開によっては、他の教科(社会科や特別活動など)と関連付けて学習を進めていくようにし、柔軟なカリキュラムマネジメントを行っていくようにする。

 

学年 テーマ・領域 教材例
和佐大すき ・校区探検(虫取りなど)

・幼稚園との交流(秋まつり)

和佐地区の魅力 ・町たんけんをしよう(働く人・自然)

赤十字センター、旧中筋家、高積交番、河南コミセン、虫取り(テニスコート横の畑)、季節見つけ

和佐地区の自然・防災 ・和佐避難場所(高積山)整備(和佐地区連合自治体)

・松下公園整備~自分たちができること~

・和佐地区の人気のお店(マニエール・ミートファクトリー)

和佐地区の環境・偉人 ・浄水場見学から和佐配水池調査・水問題

・紀の川に住む生き物の観察・保全

和佐地区の産業(農業・工業) ・農業体験を通して(バケツ稲・地域の農家さんから学ぶ)

・鉄鋼業について(住金見学→鉄はその後どう加工され使われるのか→西川製作所・ハイテック)

和佐地区の未来(環境・福祉) ・和佐のいいところを調べ、PRする資料を作る。

・福祉施設の人と交流(屋外)、職員さんに仕事についてインタビュー

 

②子どもが出合う「もの・ひと・こと」から生み出される疑問(課題)を大切にし、その課題を出し合うなかで、みんなで大きな課題を作り上げるようにする。

③課題解決の場面においては「ひとり調べ」(「グループ協働調べ」)の時間を大切にし、そ

れぞれにあった解決方法について丁寧に助言していく。このやりとりが課題解決への意欲

を継続させ、考えが深まっていくことの大きな助けになると考える。

④課題設定については、多様な視点で考えることのできる課題、探求の意欲が継続するよう

な課題、子どもの興味関心に基づく課題であることを大切にする。

⑤多様な発信・表現方法を知り活用していくために、総合的な学習の時間に年間計画を見直し、ICT活用能力育成のための基礎講座を各学年の指導目標と合わせて実施する。(資料2)

〇検証・協議方法について

①4月当初に児童にアンケートを行い、実態を把握し、各学年で、児童の実態や目標実現に向かっての手立て(年間継続して行うこと・他の教科でも取り組むこと)を年度当初に検討し、公開授業・研究授業を行い成果と課題を話し合う。

②子ども一人一人の学びの変容を記録し検討しあう協議会となるよう参観時分担して記録する。またリフレクション(コルトハーヘン「8つの問い」)を活用した協議会を行い、授業者と学習者のずれに着目することで授業の分析を焦点化して行えるようにする。

 

■リフレクションとは?

リフレクションとは大きな意味では「省察」「振り返り」のことである。しかし、このリフレクションはただの「振り返り」ではない。今回はこのリフレクション理論を提唱したオランダの著名な教師教育研究者コルトハーヘンが示したALACTモデルという教師の教育理論である。

第1局面が行為、つまり授業実践である。

第2局面の行為の振り返りから第3局面

(本質的な諸相への気づき)へのプロセス

を重視できることにより、教師は成長する

と言われている。ついつい第4局面の行為

の選択肢の拡大に話が進む協議会も多い

(KJ法ではその局面にも達することが

できていない)そのような本質的な気づき

のある協議会・授業研究を行えるように、

この取り組みを行いたい。

 

 

〇協議会の流れ

①授業者より(8つの問い左側:教師の部分を板書していく)

②質問

③ここで、今日の協議場面の設定を行う

(問い0にあたる)・その場面のビデオを見る

③8つの問いに従い子どもの事実を出し合う

この問いに従って黒板に発言を記入していく

④焦点化(協議の論点を絞る)

⑤全体協議へ戻す

⑥授業者から

⑦助言の先生から

 

 

 

〇研究体制

◆1・2年低学年ブロック ◆3・4年中学年ブロック ◆5・6年高学年ブロック の3ブロックでの研究体制とし、各ブロックから1つ全体研究授業・全体協議会を行う。各ブロックで公開授業を行い相互参観・協議会を持ち、1学期に中間報告を行い、2学期への課題を共通理解する研修会を持つ。この体制のメリットとしては、授業実践の数が公開授業にすることにより増加し、日常的な研究体制が構築できることや研究授業の時だけ協働するというような現職教育の体制でなく、年間を通して目指す子ども像に向かって実践を継続し、学年・ブロックで協議を重ねていける体制になることにより、教職員が互いに刺激され日々の実践に積極的に取り組んでいけるようになると考えている。また、各ブロックには客員指導主事、和歌山大学教職大学院教授等の専門家についてもらい、実践への助言を行ってもらうようにする。また、公開授業指導案の簡略化や授業の参観シートの導入、ニーズに沿った職員研修の実施等の取り組みも行っていく。

 

 

現職教育計画 平成31年度

 

 

 

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