<2.大橋のドンガス(カッパ)> | ||
昔、大橋にいたずら好きの若いドンガスがいました。 ドンガスはある日、舟と舟をぶつからしてやろうと思いつきました。 「さて、どの舟にするかな。」 考えていると、紺屋橋のほうから炭を積んだ炭舟がやってきました。 「たしかあの舟には舟のろをぶつけられたことがあるな。」 今度は南からイモを積んだイモ舟がやってきました。 「イモ舟にはわしの頭をこすられたぞ。ようし炭舟とイモ舟をぶつけてやろう。」 ドンガスは、さっそく炭舟のへさき(舟の前)にしがみつきました。 「おや、急にろが重くなったな。いくらこいでも川の真ん中に寄っていくぞ。」 炭舟の船頭は、ろをいっしょうけんめいこぐのですが、舟はくるくる回るだけです。 「おい、そこの炭舟なにしてるんや。わしの舟のじゃまするな。」 イモ舟の船頭がどなります。 「すまんのー、どういうわけかいくらこいでも舟がまわるんや。」 ドンガスは今度はイモ舟の方に近寄り、へさきにしがみつきました。今度は、イモ舟がまわりはじめました。 「お前の舟もまわってるやないか。」 炭舟の船頭は、どなりかえしました。ドンガスは、イモ舟から炭舟へ、炭舟からイモ舟へと行ったり来たりしました。2せきの舟は川の真ん中でぐるぐる回っています。大橋の上にはたくさんの見物人が集まってきました。 「もっとまわれ、もっとまわれ。」 見物人は、笑いながらはやしたてます。その声を聞いてドンガスは、調子に乗って2せきの舟の間を行ったり来たりします。 そうこうしているうちに、後からたくさんの舟もやってきました。 「おーい、そこの舟、何どぐさいことしてんのや。はよどかんかえ。」 「お前ら何年船頭してんのや。」 他の舟から言われた2人の船頭はあわててしまいました。そしてとうとう炭舟とイモ舟は川の真ん中でドーンとぶつかってしましました。 「あいたた。」 ドンガスはぶつかった舟と舟の間にはさまれて、ゴツンと大事な頭のお皿をうってしまいました。よく見ると大きな大きなたんこぶが2つもできています。 「やれやれ、今日は調子に乗ってえらいめにあったわ。」 と大きなたんこぶをなでたそうです。 |
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今の和歌川もドンガスが住めるくらいにきれいな川だといいですね。 | ![]() |