わが国には、封建社会において形成された部落差別が、今なお市民の意識や同和地区の
実態のなかに存在している。
人はみな法のもとに平等であり、基本的人権は侵すことのできない権利である。
にもかかわらず、同和地区の人びとの市民的権利や自由が侵害され、とくに就職の機会
均等が完全に保障されていない。
このことは、人間の自由と平等にかかわる重大な問題であり、行政の責務として、また
市民の課題として、すみやかに解決をはからなければならない。
和歌山市教育委員会は、「部落差別の解消の推進に関する法律」の理念にのっとり、同和
問題(部落差別)の根本的解決に果たす教育の使命を自覚し、憲法及び教育基本法に基づ
き、同和教育方針を次のように定める。
- 真理と正義を愛し基本的人権を尊重して、同和問題(部落差別)の本質を認識し、自
らの課題として、積極的に部落差別をなくする市民を育成する。 - 学校教育にあっては、情操・意思・知性を育て、身体をきたえて自己の課題にいどむ
学力と態度を身につけ、人間の尊厳について体得させるとともに、同和問題(部落差別)
を正しく理解させる。
とくに、同和地区児童生徒の実態を把握し、実力を養い、進路指導を充実する。 - 社会教育にあっては、系統的継続的な研修を促進するとともに、社会連帯意識をたか
め、日常の生活実践を通じて偏見を取り除き、部落差別の根絶に努める。
とくに同和地区の実態に即し、社会教育を総合的に振興する。 - 家庭教育にあっては、子がよき市民として育つ場であることを重視し、家族相互の敬
愛・扶助・人格の尊重に努め、幼児より豊かな人間性をつちかい、同和問題(部落差別)
解決の素地を養う。 - 差別問題に対しては、教育の立場から主体的に取り組み、同和教育をいっそう前進さ
せる機会とする。
本方針の実施にあたり、指導者の育成や教育環境の整備等に努めることはもちろん、
関係機関・団体の連携を密にして、市民の連帯をふかめ、力を結集し、部落差別解消へ
の明るい展望をもって、推進することを期するものである。