和歌山市立 西和佐幼稚園

「こーちゃんがいなくなった」用水路の迷子の鯉のお話④

5月7日(火)の朝、職員が出勤し、こーちゃんのおうちを準備していると、

生け簀の中にこーちゃんの姿はありませんでした。

朝、登園した子供たちは「こーちゃん いなくなってさみしい」と、保育室に入ってきました。

全員が登園してから、みんなで「こーちゃん」がいなくなったことについて、話をしました。

子供たちに、どんな風に話してあげたらいいのか、本当のことを話した方がいいのか

色々悩みながら、「朝 先生が来たら こーちゃんが いなくなってたのよ」と、話し始めると、

「お友達の所に 遊びに行ったんやと思うんやけど」

「そうやな お父さんとお母さんの所にも 行きたかったんかも」

「絶対に死んでないよ 死んでたら浮かんでるはずやから」

子供たちが口々に話し出しました。

そして、「けがが治ったから このフェンス乗り越えていったんちゃう?」

みんなで検証が始まりました。「(フェンスの)上からじゃなくて下を潜っていったんちゃう?」

「和歌山城に行ったら友達いるから そこへ行ったんよ」

「そうやな まだ川の水少なかったから そうかもしれやんわ」

子供たちのつぶやきから、「こーちゃん」の存在がいつの間にか子供たちの中で

大きくなってきていることが伺えました。

また、様々な想像を働かせて、「こーちゃん」はどこかで元気に暮らしているんだと思う気持ちと

現実的に何かを感じている子供の思いとがそれぞれの表情から見えたように思います。

「みんなが言うように こーちゃんは私たちの知らないところに行ったのかもしれないけれど

きっと、みんなの優しい気持ちは伝わっていると思うよ」そう言ってお話を終えました、

きく組のみんなは、保育室に戻り、話し合いをしました。

「こーちゃんは、昨日までいてたって教頭先生言ってたから、今日家族の所に帰ったんよ」

と、お話や絵をかいてくれた子もいました。

「こーちゃんは家に帰ったんやから 小学校の先生に借りたお家を洗って、返さないといけないよ」

「そうやな そうしよう」「みんなで 洗おう」と、次の日 お家を洗うことにしました。

 

みんなでお家をきれいにして、小学校の先生の所にお礼を言いに行きました。

「先生、お家を貸してくれたり、こーちゃんを助けてくれてありがとう」

「こーちゃん どこかでくらしているから」

「ありがとう」「いえいえ きれいにしてくれてありがとう」

あの時、子供たちが用水路で見つけた弱っていた鯉を 助けたから

子供たちは弱っているものを助ける優しさを体験できたのではないかと思います。

本当は、6月1日の用水路の水が出るときに 返してあげるのが良かったのかもしれません。

でも、何が起こるかわからないということも、今回の体験で知りえたことかもしれません。

「こーちゃん」との出会いを通して、助けてくれた先生への尊敬や感謝の気持ち、毎日声をかけ

お世話をすることで、日々元気になっていく喜び、名前がないことに気づき、名前を付けることで

より親しみを感じたこと、そのようなことを友達や先生と一緒に喜びあえることなど、

様々な学びを得ることが出来たのではないかと思っています。お世話になった皆様、見守ってくれた保護者の皆様

本当にありがとうございました。

 

 

   

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