和歌山市立 松江小学校

学校の研究主題

1.研究主題

 豊かな心と生きる力をはぐくむ道徳教育

~いきいきとかがやく子どもをめざして~

 

 

2.主題設定の理由

 

(1)今日的課題

科学技術のめざましい進歩にともなって、私たちをとりまく社会は非常に豊かになり、便利になった。しかし、それにともなって生活環境や生活様式等が急激に変化し人の意識も大きく様変わりした。近年では、日常生活における人間関係が希薄になり地域や家庭での教育力が低下したと言われている。

このような現代社会において、自分を見失うことなく豊かな心を持って生きることはだれにとっても難しいことである。しかし、このような困難な時代だからこそ、未来への夢や希望をふくらませ、自ら学び自ら考え、自己を見つめ、よりよく生きようとする意欲・力を持った児童の育成が求められる。

(2)児童の実態

本校の児童は明るく元気である。休憩時間には、なわとびやドッジボ-ルなどで集団遊びをしている児童も多い。また、先生にも気軽に声をかけ、子どもらしい素直さと明朗さを持っている。異学年交流(集団登校、ペア学年活動等)で上級生になれば、下学年の世話をするのだという意識もできてきている。しかし、指示されたことは実行しようとするが、主体的に取り組むことが少ない面もみられる。

(3)教師の願い

今回の教育課程の改訂は、21世紀を強くたくましく生き抜くための「生きる力」 として、豊かな人間性と社会性の育成を重視している。

豊かな人間性の育成は一朝一夕になしえるものではなく、学校全体での道徳教育の 計画的・系統的な指導が必要不可欠である。いうまでもなく、道徳教育は教育活動全体を通しておこなわれるものであり、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の相互関連をより充実させることで成果をあげるものである。また、学習の場だけでなく、日常生活の様々な場面で、自己を見つめ、互いに認め合い励まし合い、磨き合うことによって、豊かな心を培っていきたいと願っている。そして、ともに関わり合うなかで価値ある存在に気づき、よりよく生きようとする意欲・態度を養っていきたいと考えている。

このような考えのもと、今年度までの教育実践をふまえ、本年度も児童の実態の上にたった年間計画を大切にしながら、「めざす子ども像」に向かって実践活動を積み上げていきたいと考えている。

道徳の時間を核とした総合単元的な道徳の学習では、学習の流れがわかるような指  導案を考え、事前の学習・本時の道徳の時間・事後の学習をどのように、発展させて  いくか等を追求しながら教育実践に取り組んでいる。

豊かな体験活動の場の設定を大切にし基盤としていくが、保護者・地域社会と共に子どもを育てていくということも大切に考えている。平成13・14年度は「福祉・ボランティア教育」に視点をおいた取り組みを進めてきたが、平成15年度からは他の領域にも視点をあて体験活動の場を広げてきた。

以上のような観点から、本主題を設定した。

3.研究主題のとらえかた《豊かな心》《生きる力》

本校では《豊かな心》を「感動する心」「思いやりの心」ととらえている。感動は生きていく原動力である。人や自然とのふれあいの中で、感動的な体験をする機会を多く味わわせることによって、生きていく原動力をもった子どもにしたい。そのため(1)心にひびく体験活動を意図的、計画的に実践していくことで、お互いを思いやる心・協力性・信頼感など、心の交流を深める。

(2)体験活動で得た児童の思いを生かし、自己を見つめることのできる道徳の学習をする。

(3)多様な考えにふれ、より高い価値に気づき、次の体験活動への意欲を高める。この連続化をはかることにより、豊かな心が育成されると考える。

《生きる力》とは、自分の力を最大限生かし、自己を一歩でも前進させようとする力であり、また、常に自己を見つめ現在の自己を振り返ろうと自分の中に向かう力でもある。自ら考え、生命を大切にし、主体的に行動していくたくましさでもある。

この力は、問題解決的な能力と豊かな心と健やかな体とが、個々別々に働くものではなく、総合的に働かなければならない。そのためにも、各教科それぞれの特質を生かし、基礎基本の定着を図ることが大切である。また、特別活動や総合的な学習の時  間、家庭・地域社会との連携等のなかで、試行錯誤しながらも、互いを認め合い自分  のよさを自覚しながら、自己を高めていく喜びを味わうことのできるより多くの体験  をさせることも大切である。これらを充実させることで豊かな心を培い、道徳的心情  ・判断力を養うとともに、よりよく生きようとする道徳的実践意欲・態度をもった児  童が育成されると考えた。

 

4.研究の重点

(1)道徳の時間の充実

「生きる力」を身につけるためには、「道徳的価値」をしっかりと自覚して、自分らしさを大切にしながら、次の段階へと発展させていくことが大切である。

道徳の時間は、各教育活動において行われる道徳教育を全体にわたって調和的に、補充・深化・統合し、この「道徳的価値」の自覚を深め、道徳的実践力を育成するのが目標である。そのためにも、総合単元的な道徳の学習の展開を考え、子どもたちの意識の持続を図る工夫をすることが大切である。また、年間を見通した発展的・計画的な道徳の授業を構成していくことも大切である。

道徳教育のかなめである道徳の時間の充実を図ることで、子どもたちは、ねらいとする価値に対する多様な関わり方があることを知り、自分のこれまでの生活を振り返って、自分の生き方についてより深く考え、今後の自分の生活に生かそうとすることができるのである。

子どもの姿(一人一人の子どもの体験、見方、考え方)をしっかりとらえ「心に響く道徳の時間」にするためにも、心を耕す魅力的な教材を開発・活用し、多様な指導法の工夫等をこらした道徳の時間にしたいと考えている。

(2)体験活動の充実

体験活動では、子どもが自分たちの学級や学校生活を自らの力で充実し、向上させるために必要な問題を課題として認識し、解決に向けて主体的に活動する態度の育成をねらっている。そこで、「総合的な学習の時間」や「特別活動」等における体験活動の場の設定をすすめてきた。

「総合的な学習の時間」では、各教科等の枠をこえて、自然、人間、社会、文化などいろいろな対象と幅広く関わり、今までの体験・知識を基に、新たな課題追究のため主体的な学習活動の場と機会を保障していくことが大切であると考える。

また、「成すことによって学ぶ」といわれる「特別活動」を充実し、自らの存在・自らの居場所に自信や誇りをもたせていきたいと考えている。

体験活動が、一人一人にとって生活を充実向上させるものであれば、問題解決することの意義・驚き・喜び・友達のよさなどがわかり、すばらしい成就感が実感できる。その心情的高まりのある活動を着実に積み重ねることによって、意欲・判断力・表現力をもち、また思いやりの心で生活できるようになり、豊かな心と生きる力をもった子どもが育っていくと考える。

 

(3)家庭・地域社会との連携の充実

子どもたちは、生まれてから自分の家庭を中心とした生活をそれぞれの地域社会で すごし、様々な経験をして成長してきている。その過程全てが、生まれ育った地域社会と切り離しては考えられない。心豊かでたくましく生きる力を育む体験の場・教育の場では、学校だけでなく家庭や地域社会の教育力を生かすことも大切である。

学校、家庭、地域が互いに連携を密にした取り組みを進めていきたい。

-具体的な取り組み-

①家庭や地域の人々の積極的な協力を得て、児童にとって大切な学習の場である

地域の教育資源や学習環境を一層活用していく。

・公園の管理や使用の仕方

・人材バンクの方からの指導

②学校の教育活動を家庭や地域の人々に知らせ、理解や協力を求める。

・家庭訪問    ・学校だより    ・保健だより    ・学級だより

・交通安全教室・人権教育      ・奉仕作業      ・授業参観と懇談

・クリ-ン活動・運動会などの学校行事

③地域の人々と交流する幅広い体験活動を得、視野を広げることにより、豊かな人

間形成を図っていく。

・地域の人々との交流             ・地域のお年寄りとの交流

・運動会、集会、夏休み作品展等に招待    ・松江夏まつり

 

(4)豊かな心を育てる教科指導の充実

各教科それぞれに特質やねらいがある。その一つ一つの教科指導を充実し、基礎学力につながる知識・技能・理解力等を身につけさせることが大切である。それと共に意欲や関心や態度等も大事にしたいと考えている。

一人一人の子どもがそれぞれのよさを発揮し、自分なりの方法で自分の考えを深め広げていく授業の構成を考えていかなければならない。授業で学んだことがさまざまな学校生活に生かされ、変化する社会でも主体的に対応できる子どもの育成につながると考える。

教科指導の場においても、相手を認め、思いやりを持ち、助け合う心の成長、人格形成をめざす。

(5)コミュニケーション能力を高めるための活動の充実

子どもたちが成長していくためのさまざまな体験の場・教育の場には、人とのかかわりが不可欠である。よりよいコミュニケーションを図るためには、自分から他者への働きかけが必要となる。そのためには、話すこと・聞くことの指導で確かな力をつけていくとともに、人とかかわりあう場、自分の思いを相手に伝える場を多くもつことが大切であると考える。そこで、全教育活動の中で、話し合い活動や、交流活動、ゲームなどを通して、コミュニケーションを図ることの楽しさやうれしさに触れさせ、  自らコミュニケーションをとろうとする子どもを育てていきたい。

 

(6)学級経営の充実

子どもに寄り添い、子どもを育てる全教育活動の基盤として、子どもの心の健全な育成をめざした学級経営の充実を図る。

学級集団が一つの集団としてのまとまりをもち、楽しく、充実した毎日がすごせるような学級集団をめざしていきたい。そのためには、それぞれの子どもに、自分の学級への所属感をもたせ、子どもたちを学級の主役にすえ、それぞれにやりがいのある役割を分担し、自分たちの学級をつくっていくよう支援していくことが必要であると考える。

また、学級集団内でおこってくる問題が、学級前進のかてとなるよう小集団や全員による話し合いを大切にし、相手の気持ちや立場を考えて解決していこうとする学級集団づくりをめざしていきたい。

(7)個に応じた指導の充実

道徳の時間、または道徳の時間後に、子どもたちが書いたものをよりどころに個別指導を充実し、道徳実践つまり行動の変容を願い、行動していける子どもを育てていきたいと考えている。

道徳の時間に深めあった価値で、子どもたち一人一人、気になる子と語り合い、書き交わすことで、補充・深化・統合を図りたい。                                                          (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)を網羅的に取り組むことによって、より 充実した道徳教育の実践をしていくなかで、主体的に活動し、いきいきとかがやく子ど もが育ち、研究主題にせまれると考えた。

 

5.各学年のめざす子ども像

 

1年 

友だちを大切にして、なかよくする子 

2年 

友だちの気持ちを考えて、みんなとなかよくする子 

3年 

力を合わせて、最後までがんばる子 

4年 

友達との信頼を深め、仲間を大切にする子 

5年 

かかわりの中で考えをもち、行動する子 

6年 

一人一人のちがいを認め合い、共に高め合える子

 

 

 

 

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